「絶滅した日本のオオカミ」(ブレッド・ウォーカー)

 ニホンオオカミとヤマイヌは異なるのか同じなのか。さらにニホンオオカミは大陸のオオカミの亜種か別種か。動物学だけではなく社会学の視点からの考察。
 ニホンオオカミ、ヤマイヌ、エゾオオカミ、狼、豺、犬についての記述から始まる。ニホンオオカミとヤマイヌとは別の生物であったのかどうかを、剥製、毛皮、頭骨、伝承、などの状況証拠をあつめて、さぐっていく。結論は不明なままでちょっと消化不良の終わり方だが、考え方は非常に面白い、というよりも参考になる。現存する剥製がニホンオオカミか、ヤマイヌか、ラベルのつけ間違えはないのか、そもそも2種類の動物が生息していたのか、1種類しか生息していなかったのか、など他の研究者の成果、シーボルトの剥製などを参照して考察している。
 小型であるニホンオオカミは大型種が日本で小型化したものか、犬との混血種か、あるいはそれ以外か、など諸説からきっちりとした根拠を示して結論を導くのは、難しいことなのだろう。特に犬との混血の可能性については、日本では飼い犬でも放し飼いに近く容易に野生動物との混血が起こりえたこと、日本犬は犬の中でもオオカミに近い種類であること、などから判別が難しい、とのこと。この記述は新鮮であった。日本犬がオオカミに近いことは知っていたし、日本ではヨーロッパに比べると犬を放し飼いにすることが多かったことは、一応知ってはいたのだが。因にこの本が書かれた時期は、まだニホンオオカミのDNA検査が岐阜大学の先生によって行われる前であったようだ。
 このDNA検査の結果からは、ニホンオオカミ、ヤマイヌは同一種で、大陸のオオカミとは少し異なる種類、とのことだった。亜種とするのか別種とするのかは未定だったと思うが。
 次は「日本産狼の研究」を読む。DNA検査技術が現れる前の研究成果だけれど興味深そうだ。
絶滅した日本のオオカミ―その歴史と生態学
北海道大学出版会
ブレット・ウォーカー

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日本産狼の研究
校倉書房
直良 信夫

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