「シャトゥーン ヒグマの森」(増田俊也)

 木村政彦や柔道を書いた著者の動物小説。しかし動物と仲良くする話ではなく、人間が羆に食われる話。かなり残酷な描写が繰り返しでてくる。それでも過剰に描いたわけではなく、猛獣なら当然のことであろうと思う。映像化するなら実写では無理、CGが限界だろう。しかもR指定。
 年末に野鳥の観察用の小屋で数人が過ごすために集まったという設定だが、ちょっと気になったのは、その小屋に熊を撃退するための撃退スプレー、鉈、などをほとんど備えていないこと。原生林の中の小屋なのだから、実際にはもう少し準備をしていないのか。
 登場するヒグマは幼獣のころ人間に飼われていたのだけれど、その飼っていた人間を躊躇なく殺す。人間の感傷が全く通じない相手として、冷徹に描かれている。変に擬人化されるよりもこの描写の方が好きだ。
 因に、シャトゥーンとは冬になっても冬眠用の穴を持たずにうろつきまわるヒグマ。えさが少ない季節なので当然気が荒く非常に危険な猛獣。
 直接ストーリーとは関係ないが、巨大なヒグマなら、トラ、ライオンも一撃で倒す、と書かれている。ネット上でもトラとヒグマどっちが強いか、というのは論争になっていたようで、トラの方が強い、という意見が多かった気がする。ただし、最大級の雄の成獣同士ならヒグマの方が強い気がする。トラの2倍ほどの体重があるので。
 個人的な話だが小学生の頃は、ヒグマ特にアラスカヒグマ(現在ではコディアックヒグマと呼ばれることが多い)が一番大きくて(ホッキョクグマよりも)強いと思っていたので、ある動物図鑑に、ヒグマの天敵トラ、とか書かれているのを観てショックを受けた。その後ヒグマ熱は冷めたのだけれど、この本を読んでちょっとその頃のことを思い出した。因に、トラと出くわすのはシベリアのヒグマでアラスカのヒグマよりも少し小さいそうだ。また最大級ならばアラスカヒグマよりも、やはりホッキョクグマの方が大きいようだ。
 著者は北海道大学柔道部出身だけれど、ヒグマ研究会にも入りたかったそうで、そのころからヒグマ好きなのだろう。実際には柔道と両立できず、ヒグマ研究会には入会していないそうだけれど。
 とにかく、北海道、特に郊外へ行く前には読んだ方がよい。
シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)
宝島社
増田 俊也

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